コロナウィルス感染死での直葬…。死に目に会えないことなど2020年05月06日 10:15

 志村けんが亡くなり、昔の懐かしい番組を再放送しています。ドリフターズ「8時だよ。全員集合」は、当時、劣悪番組として教育ママたちに叩かれていましたが、子どもたちにも絶大な人気でした。
 コロナ感染で亡くなり、身内も立ち会えないまま火葬となり、骨箱が届けられる…。葬儀なしに火葬となるのを直葬というようです。

 30年ほど前、踊りの稽古で小さな会館を借りたことがありました。戸が少し開いていたので、ふと中をのぞくと畳の部屋の真ん中に棺が置かれていました。驚いて管理人に聞くと「親族は来ないけれど、とりあえず一晩置かせて下さいということで…」。薄暗い畳の間にぽつんと棺桶だけがありました。

 高い峰々を超えて山の向こう側まで羊を追っていく遊牧民のテレビ番組を見たことがありました。体力的にもきつく、大人でも越えられないくらいの険しい山道を登っていきます。その坂道の途中、疲れ果てた高齢の者が食料の入った小さな袋をもらい、そこに座り込みます。他の家族たちは羊たちと一緒に急な坂をそのまま登っていきます。高齢者はそこに一人取り残されままでした…。

 20年くらい前にドイツで仕事をしていたとき、なんとも妙なタイミングでしたが日本映画の「楢山節考」(ならやまぶしこう)を見ました。昔々の日本の貧しい寒村、食い扶持を減らすために婆さんを背負って、遠くの山に姥捨てに行く映画でした。捨てられる前、婆さんは谷川で眠っている魚の捕り方を嫁さんに教えていました…。

 東京圏に住む妹夫婦も老齢となり、仕事でアメリカにいる長男夫婦とはあまりにも遠く、コロナウィルス感染で亡くなるようなとき連絡に困るので…ということで、兄弟で連絡先を教え合っておくということになりました。2、3週間前のことです。電話で話しながら「これが、後から考えると今生の別れ、だったりしてね」。

 今は訪問禁止ですが、以前、高齢の母が入っている施設に立ち寄った際、何気にスマホで写真を撮りました。なんで写真を撮るのかと聞くので、「良さげな遺影がないからねっ」と冗談めかせて答えました。その後、体調を崩して痩せて本人もがっかりするほど老婆の容姿になり、写真を撮っておいて良かった…とひっそり思っています。

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